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2006年10月19日 (木)

増え過ぎた鹿の世界が今、問われています

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この画像は近くの牧場の風景ですが本来放牧されているはずの馬は見えず、♂鹿3頭を含む10頭以上の集団です。

又、渓流釣りに行くと必ず、何組かの子連れ鹿に出会いますがここ数年、特に異常繁殖とも思われる位、頭数が増えている様です。
因みに、山道横の低木の新芽は可也食い尽くされており又、親、仔共々異常に痩せているファミリーも散見されます。

地元ハンターらは、とある区域では余りにも痩せ、成長が芳しくない鹿が多いので、とても撃つ気になれないと述べておりましたが確かに重要な発言です。

その原因を単なる、’一個体に於ける摂取されるべき食餌の絶対的な不足’にのみ意見を集約する事無く、遺伝子レベルまでさかのぼった地域、集団的な検査が是非とも必要な時期に差し迫っていると思われます。

言い換えれば道路等により行動範囲を制限させられ、限られた区域で近親交配になっていないか甚だ疑問であります。

dnaの本来有しているはずの無限に近い選択肢が妨げられていないか、その多様性を狭められる事無く、自然の状態で、果たしてdnaの正常なコピー、貼り付けがなされているのかどうか。

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ある研究者曰く、’春に野垂死した鹿の固体は時々見かけるがあくまで正常範囲内での発生頭数’らしい。

ギリシャ神話に出てくるキメラの様な怪物はsfの世界であってほしいですが、仮に近親交配が証明されれば、今後、いつの時代にか、この種に絶望的な神の審判がくだるかもしれないですよね。

異常に増殖したヒトと言われる動物によって提起された、異常に増殖した鹿の世界が今、問われています。

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コメント

はじめまして。クマとの遭遇体験、興味深く読ませて頂きました。私も以前北海道在住で、知床で働いていたこともあります。

少なくとも斜里町では10年以上前から、シカの交通事故死体や春の斃死体を可能な限り回収して体サイズの計測と栄養状態の指標として皮下脂肪の厚さ、腎臓付着脂肪量(内臓脂肪の指標)、大腿骨の骨髄脂肪率(サンプルを後日分析)等のデータを取っています。
これらのデータから、春先の斃死体の死因は餓死であり、春の草が出るまでに皮下脂肪、内臓脂肪、骨髄脂肪の順に消耗しつくし、ガス欠状態で死んでいることは明白です。年間を通して見られる交通事故死体の栄養状態は様々で、季節変動が見られますが、餓死個体と同様の低脂肪状態のものは春先にしか見られません。
サンプル採取や計測・解剖には獣医が関わることも多く、奇形や内臓疾患、肉眼レベルで発見可能な寄生虫などの所見があれば、見逃す可能性は非常に低いと言えます。
これは全道的なサンプリングではないので、他地域では奇形がたくさんいるかもしれない、という反論もあると思います。しかし、規模や時期が小さいものの、道内の他地域でも同様であり、春先のシカ斃死体の死因は基本的には餓死と交通事故死であることは動かせないでしょう。奇形について気になる場合は、発見例を撮影記録に残し、発見した斃死体のうちの奇形個体の割合も記録するぐらいのことは、個人でもできることと思います。

欧米で既に複数の論文がありますが、積雪地域に生息するシカの仲間では、大雪の年には大規模な餓死が発生し、少雪の年には(餓死しないので)順調に増える、という冬季積雪量に依存した増減パターンが知られています。北海道でも同様のパターンが見られますが、温暖化により大雪の年が減り、大規模餓死も減ったことで、自然な増減パターンから逸脱しているように見えます。しかし、少雪であっても、春に生まれた小鹿にとって、最初の冬が最大の試練であることに違いはなく、春直前に多かれ少なかれ餓死は発生します。

道東地域で大規模に建設されたシカ柵により、シカの季節移動が妨げられて冬季に飢えやすくなる地域個体群が発生している可能性はあります。しかし私は、長大なシカ柵を維持していくことは難しいと見ています。倒木や落石や熊により柵が壊されたり、水辺を横断する部分で下を通過できる場所などがあり、定期的にパトロールして補修するには大変な作業量が必要です。さらに、柱の耐久年数が過ぎて再設置が必要な頃には補助金もないので、壊れたまま放置されていく可能性が高いでしょう。

日本各地で森林の自然な世代交代を崩壊させるレベルまでシカが増えていることは事実ですし、北海道や環境省の対応は後手に回っていて不充分だと思います。
しかし、野生動物学についての記述は分断リスクの側のみから論じた一方的なもので、「・・・検索をしていないのが実情」、との記述は事実ではないと思います。

投稿: キノコハンター | 2009年8月11日 (火) 09時32分

生存に不利な遺伝子を受け継いだ個体は自然淘汰される、あたかもその結果としての死という暴論、奇論にご異論があるのは当然でありますがあえて書いてみました。

ご研究の低栄養、又、引用文献による明確な裏付けも紹介して頂きとても良く理解できました。
ただ、その一点にのみ答えを集約してしまう事に釈然としない疑問が残ります。

現場を見ていない素人、凡人の幼稚な発想をお許し下さい。
限られた狭い区域に生きる事を強制、すなわち自由なdnaの選択を抑制せざるをえない環境下で、その死因が今のところ、遺伝子異常はないという証拠を見てみたいものです。

愚生の住んでいる片田舎では何十年と狩猟をやられている仲間等からここ数年、おかしな顔の鹿がいただの、頚が変な向きをしていただの、お話を聞かされますし、又逆の意見も沢山あります。

よく例えられる数十年前、某湖の島に放たれた鹿が増えたにもかかわらず、個体に肉眼的な異常は発生していないという例を引き合いに出す研究者がおりますが、現在知られている催奇形因子の中で環境要因は除外しても遺伝的要因、例えば近交係数という表現が適切か否か、わかりませんが可能なら現在の近交係数を是非とも知りたいものですし、同じく可能なら将来の遺伝子レベルでのシュミレーション等の結果も知りたいものです。

オッパイのより沢山だす牛、より速く走る馬を得るが為に、日陰に葬り去られる沢山のもの達もさることながら、その壮大なリスクを抱え、本格的に実験を開始してまだ僅か数百年くらいでしょうか。

例えば奇形という一点に的を絞って見た場合、劣性遺伝は生殖機能に問題ありとする意見に安易にのったのか、数万年後~数百万年後の各生命体の奇形発生率の予測は温暖化の問題と違ってほとんど注目されていないようです。

進化の過程で、お猿さんから別れてライフサイクルの長い人間が各人種共々、近親結婚を禁止するに至ったその経緯を想像すると、鹿に限らずとも疑念をぬぐいきれません。

プロに向って数々の放言、大変失礼いたしました。

投稿: 与作 | 2009年8月28日 (金) 18時27分

また長文になってしまいました。すみません。

知る限りでは、シカの近親交配による奇形について心配している専門家はいないようです。問題がないと断定している訳ではなく、現時点では近親交配による弊害と思われる兆候が専門家に把握されていない、ということです。
野生動物研究者の数も予算も乏しい現状で、おそらく「数万年後~数百万年後の各生命体の奇形発生率の予測」よりも、優先すべき研究課題が多くあると考えられているのだと思います。また、総個体数がとても少ない種類については、DNAから遺伝的多様度を調べる研究も行われています(猛禽類など)。
私は、種類と環境によっては、数年から数10年単位でも奇形発生率に影響が出ることもありうると考えていますので、気になったら記録しておく価値はあると思います。フロリダパンサーのようになってからでは手遅れですし。

角の奇形は目立つので、記録を蓄積すれば経年的な変化を把握できる可能性があります。この場合、奇形個体に注目して記録するだけではなく、正常個体と奇形個体の割合の記録も重要です。
ただし、袋角の時期にぶつけると、形が歪んだり曲がったりするので、奇形角を発見したときに、それが成長途中の事故の結果なのか別な原因なのか区別し難い場合がでてきます。また、化学物質汚染の影響で奇形が発生した場合も、外見による区別は困難です。
生息環境の面では、間伐されていない針葉樹植林地の密林しか夜間のねぐらがないような地域では、他地域よりも角をぶつけて変形させてしまう確率が高くなるかもしれません。
斜里町ウトロにあるシカ角工芸店には様々な奇形角が展示されています。ここでは、枝分かれが通常より多い角の説明として、大陸のアカシカ(分岐がかなり多い)の血統が北海道にわずかに入っており、特に老齢個体で顕著になるとの解説板が掲げられています。魅力的な説ですので、誰かにDNAで検証してほしいところです。
このように、奇形角には複数の要因が関わっており、近親交配による影響ばかりとは言い切れないため、長年にわたり奇形角の発生率を記録しても解釈に苦しむことになるかもしれません。
それでも、ある年のある場所のデータをとらなければ、別な年や別な地域と比較することはできません。「A地域はB地域よりも奇形角の発生率が高い」「この場所で10年前と比べて奇形角の発生率が上昇した」というような結果が得られれば、「では、その原因を解明しよう」となり、協力してくれる人も現れると思いますが、データがなければ説得力は弱いです。短期的に問題がなくても、将来比較できるデータを持っていることは重要です。
奇形発生率に限っていえば、狩猟や交通事故で死亡した雄個体の精子の奇形率を調べる方が、数値化できることもあり、地域間や年代間で比較しやすそうです。

ところで、個人的には、シカを含む中型-大型の動物にとっては、通常の道路による分断効果は小さいと思っています。さすがに高速道路ともなると分断効果はありますが、それでも動物達は高架、トンネル、アンダーパスを利用して、想像以上に横断しているので、北海道のシカにとって、完全に閉鎖された地域はまず無いと考えています。私は、道路よりもシカ柵の方が問題があると感じていましたが、先に書きましたように、維持管理が困難なので長くは持たないと予想しています。

大昔、石狩方面で夏を過ごしたエゾシカは越冬のために日高方面に季節移動をしており、現在の国道36号線の平野部ではアラスカのカリブーの大移動のような光景が見られたそうです。アイヌのハンターは、平野が狭くなっている所で効率よく狩猟していたそうです。そのような光景を見ることはもうかないませんが、さぞや壮観だったろうと思います。

投稿: kinokohunter | 2009年12月20日 (日) 19時10分

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