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2007年9月 8日 (土)

キャッチアンドリリース-アメリカの場合

Chris_zimmerman21 Czimmerman1

アラスカ科学センター生物科学研究室、漁業研究プロジェクトチーム、魚類生物学研究者であるMr,Chris Zimmermanに、発表された学術論文の一つである、<ニジマスの釣り針損傷及び生理学的反応>の引用許可をお願いした所、快諾して下さいました。

Yosaku-

Please feel free to use any of the information and images from our webpage.  Please identify the source and provide a link to our webpage.  Thank you for your interest in our work and for helping to distribute the information to a larger audience.

Is that a white spotted charr on your webpage?

Chris

タイトルは、次の通りで、以下に愚生の和訳を記載します。

evaluating the effects of catch-and-release fishing on the hooking injury and immediate
physiological response of alagnak river rainbow trout captured by catch-and-release angling

アラスカのAlagnak Riverに於けるキャッチ&リリースにより捕獲されたニジマスの釣り針による損傷及び直接的な生理学的反応について

   はじめに

釣り挙げられ、再び放流される、所謂、キャッチ&リリース(以下c&reと記す)によるニジマスに於ける、急性のストレス及び釣り針による損傷がどの様に魚体に影響を及ぼすかまだよく分からない。

死亡するか死亡しないまでも繁殖行動の変化、耐病性、発育遅延又は食欲減少等の異なったタイプのストレスとしてあらわれる事もある。

又、釣り針による損傷は日和見細菌感染症、若しくはカビ感染症に侵される事もあり、眼の損傷は捕食行動に影響を与えるであろう。

1997-1998年、アラスカのAlagnak Riverで約2100匹のニジマスを針又は網で捕獲し調査した結果、1000匹に釣り針による傷痕がみられ、その内30%以上に2箇所の釣り針痕が認められた。

したがって、魚体の変形、釣り針痕等はアラスカを訪れるアングラーに決して好ましく思われていない。

   目的

本研究の目的は釣り針による損傷の影響を調査する事。
又、釣り挙げに要する時間、釣り針を取り外すのに要する時間と生理学的ストレス反応の関連性に付いて調べた。
生理学的ストレスレベル検査の為、血漿中コルチゾール値、血糖値、乳酸値及び電解質値を測定した。
尚、アングラーの経験レベル、水温も調査した。

   方法

生理学-
2000-02年の夏、254mm以上の大きさのニジマスをclive oil溶液を用いた麻酔下で尾の静脈より採決した。
その後、新鮮な水を入れたタブに入れて蘇生させ、平衡感覚が戻り、正常な泳ぎが可能になった後、放流した。
ボートの上に屋外キャンプを作り、それを実験室とし、血液サンプルは遠心分離後、血漿を液体窒素タンクにて保存、USGS Conte Anadromous Fish Research Center にて分析した。
各々、
釣り針に掛かってから取り込むまでの所要時間、
釣り針はずしに要した時間、
麻酔に要した時間、
採血に要した時間、
覚醒に要した時間、
放流に要した時間を記録した。

放流する際、視覚、行動が元に戻るまで足にまとわり付くがその時間も記録した。

釣り針による損傷-
調査はアラスカ州Alagnak river及び,Nonvianuk湖とKukaklek湖の出口で一日2回捕獲した。

釣り方法はフライフィッシング及びスピンフィッシングの二通り、
釣り針はJ型、circle型の二種を使用、
釣り針はカエシのあるもの及び、カエシのない二種を使用、

捕獲された総てのニジマスは重量、尾叉長(口の先端から尾ひれ中央のくぼみまでの長さ)の計測、過去の釣り針傷の有無を調べた。

協力したアングラーは自分の研究所のスタッフを含め、各所からのボランティアらにも参加してもらい、初心者群(過去10日以下の釣行暦)と経験者群(年10回以上釣行する)に分けた。

捕獲した魚は、死亡率及び生理学的反応時間を調べる為、空気に晒すことなく余計なストレス、損傷を避けた状態下におかれた。

   結果

生理学-

血漿コルチゾール値及び乳酸値は針掛かりして取り込むまで2分以上要した群と2分以内で取り込んだ群に分け、比較検討した。

血漿コルチゾール値及び乳酸値は針掛かりしてから取り込むまで要した時間に相関があり、長引くほど、両者の値は増加し、水温が上昇した時により明瞭に認められた。

血糖値及び血漿Na,K,Cl値は釣り方法、水温、取り込むまで要した時間と相関はなかった。

水温は季節により色々変化するが血漿コルチゾール値及び乳酸値はより高水温の時に上昇する傾向がみられた。

釣り針による損傷-

上、下顎部に71%の割合で、眼若しくは眼と顎に10%の割合で認められた。
666匹中、386匹(58%)に少なくとも1ヶ所の釣り針による損傷がみられた。

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                  上顎部の釣り針の損傷痕-上記サイトより引用

J型釣り針のフライフィッシングで57%、スピンフィッシングで62%、同様にcircle型釣り針を使用した場合、フライフィッシングで46%と統計的有意差はなかった。

しかし、舌、エラ、眼、食道など内部器官に限ってみるとcircle型釣り針を使用した場合より J型釣り針を使用した方が釣り針による損傷の発生頻度は高く、それに伴う出血頻度も外部器官より高かった。

Rainbow_trout_with_inverted_maxilla

                   反対側の上顎部の釣り針痕-上記サイトより引用

J型釣り針に起因する損傷(355匹)の内、釣り針のカエシのない群は50%であるのに対し、釣り針のカエシのある群は67%であった。

カエシのあるJ型釣り針はカエシのないJ型釣り針より取り込みの際外れる可能性はより少ないが針を外すのに時間を要した。

経験の浅いアングラーの損傷頻度は70%なのに対し、経験の長いアングラーは56%であり、掛かった魚の取り込みに要する時間は逆に経験の浅いアングラーの方が短かった。

釣り針による損傷は魚の大きさ、カエシの有無によって少し変化があり、中等度から重度の出血を伴う損傷はカエシのない釣り針で10%であったのに対し、カエシのある釣り針で15%であった。

釣り挙げ後、まもなく死んだ魚が1.2%程あったが釣り針の刺入部位、及びエラから中、重度の出血が原因であった。

   管理の為のアドバイス

カエシのあるJ型釣り針は損傷をより増加させ、魚から取り除くにも時間を要するが、魚の取り込みにはカエシのないJ型釣り針よりも効果的であった。

Bigfishaugust2001101

   上顎部の欠損、顎の先端部の2ヶ所の釣り針痕-上記サイトより引用

カエシのあるJ型釣り針を制限すると釣り針による損傷頻度を減少させ、それに伴う出血も減少させ、釣り針はずしに掛かる時間も少なくて済んだ。

だが、circle型釣り針を使用した場合は取り込みに際し、J型釣り針のようにはいかず、途中で逃げらる事も多かったが釣り針による損傷頻度に両者間に変化はなかった。
しかし、内部器官損傷率は極端に少なかった。

ニジマスの釣り針による死亡、損傷はたくさん研究されているが感受性の高い内部器官の損傷が第一である。
この様に、circle型釣り針を使用した場合、内部器官の損傷による死亡率減少につながるが取り込みが十分ではない。
従ってアングラーが使用する事は好ましくないかもしれない。

July120005_arrow1

             c&reが始まる前からの眼の欠損-上記サイトより引用

従って、次の項目が重要だろう。

適切な釣り針の選択、
釣り針はずしのテクニック、
手早い取り込みの重要性、

これらを啓蒙する事により、損傷頻度を減少させ、そして取り込み時間をより短縮できるだろう。

水温の上昇している時は特に、釣り針に掛かってから外すまでの時間を短縮する事は結局、生理学的ストレスを最小限にし、回復時間の短縮にもなる。

                                           以上

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コメント

C&Rとは難しいですね。
ヘラブナなども、あまり言われませんがC&Rなのでしようね。
最近は必要以上に釣った魚を持ち帰らずにリリースするようにしておりましたが、単純リリースすれば良いとは限らないのですね。

投稿: 清水小政 | 2007年9月12日 (水) 17時07分

こんばんは、komasaさん

c&reは日本では其の行為自体が免罪符の様な、なんて云ったなら問題ですが’後は知らない’で終わりって感じですね。

学校で、そして、釣り具屋さんで最初に教え、或いは竿を持つ前に学ばなければならない事かもしれませんね。

自戒をこめて。

只、例えば、アフリカのキリマンジャロの5,6合目以上にニジマスを放流し、釣りを楽しむアングロサクソンの様な人種と、お魚といったなら目がない日本人ではosの違いも、まな板の大きさも違いすぎますよね。

投稿: 与作 | 2007年9月13日 (木) 23時27分

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