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2008年3月26日 (水)

さゆり

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華やかな世界の裏側には生臭い人間臭を帯びた欲、徳が混在するが祇園のプロの芸姑の一人称で語られたさりげない回顧録に味わい深い人間味を感じさせる良本だった。。

全米で200万部以上売れ、ヨーロッパでも反響を呼んだ世界的ベストセラー「さゆり」日本語版を再度読み終えるがよくもここまで祇園花柳界をアメリカ人が描いたものだと感心させられるしその努力には敬服する。

1997年、出版後たちまち日本ブームとなりマドンナが衣装を着物風に変えたり、時のヒラリー大統領夫人にも影響を与えたとされる。

NYタイムズ紙のオーナーであるザルツバッカー家の息子であり、日本通でもある著者のアーサーゴールデンの設定は、9歳の少女で芸者置屋に売り飛ばされた貧しい漁村出身の姉妹の青い目をした幼子がさゆりという芸姑になり、絶望の淵から這い上がるある種の戦いを挑み、挑まれつつその世界で次第に名をなしてゆきやがて大成し、ハッピーエンドというストーリーで映画化もされ主役は中国人であった。

その映画は書籍よりも内容が狭く戯曲化されすぎていたが総指揮がスティルバーク、ハリウッド製だけあって日本人の目からすると若干の違和感も、しかしそこが又、面白いのかもしれない。

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尚、この映画は中国で上映禁止となったらしい、理由は主役の中国人が演ずる日本の芸姑は中国人にとっては高級娼婦なのだろう、その配役を中国人の俳優が演じた事に対する自尊心の問題だという訳だ。

主役を演じた中国人女優のチャン・ツッイはアメリカと異なり中国では恥ずべき裏切り者との評価をされたらしい。

話題性に富んだ映画だが、中国ではいまだに芸術がイデオロギーを超えられないとは国家自体の根っこに存在するであろうトラウマと云うよりは、何かの目的を持ってそのトラウマもどきを当局は勝手にプロパガンダのマテリアルとして利用しているだけの事だろうが疑問の残る反文化的な愚行でしかない。

文体が聞き取り調のラフカディア・ハーンの小説にも通ずる所があり確か、ハーンも芸姑に付いて書いていたのを読んだ事がある。

それにしても、なかにし 礼著、「長崎ぶらぶら節」の芸姑、「愛八」と本書の「さゆり」はよく似かよっておりその他の設定、内容等々にも類似点らしき箇所が随所にみられるが気のせいかな。

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