« 2008年6月 | トップページ | 2008年8月 »

2008年7月19日 (土)

インフルエンザウィルスの逞しさ

Imgp0186

鴨の腸の中にいるある種のウィルスは営巣地であるシベリア、アラスカの北極圏に近い湖で便と共に大量に排出され、渡り鳥間で水系伝播を繰り返す。
そして8月になると鴨は南方に渡りを開始するが沢山のウィルスもかかえられて一緒に移動する。
その後、ウィルスを大量に含んだ湖は凍結してしまい、天然の冷凍保存状態となり翌年の春に再度ウィルスは活性化するといった、一連の循環をおそらく人類が出現する遥か前より繰り返していたのかもしれない。

その南下する鴨の腸内にいる非病原性ウィルスはガチョウ、ウズラ、七面鳥等を経由し、ときに鶏に伝播する事があり、鶏間で感染を繰り返すと’病原性’を獲得する事があり、これが’高病原性インフルエンザウィルス’と呼ばれる。

この’高病原性’とはあくまで鶏に対する用語であり、鳥インフルエンザウィルスを鶏の静脈内に接種しその致死率によって測られるのでその他の鳥、哺乳動物、まして人に対するものではない。
なぜか高病原性’という用語が一人歩きし、マスコミ関係者の無理解が混乱を引き起こしている。

その証拠に高病原性インフルエンザウィルスは大昔から発生していたに違いないだろうがその原因ウィルスが人に伝播して広がり、インフルエンザの大流行を起こした事を示す記録は見当たらない。

Imgp0208

しかし、豚の呼吸器上皮細胞は人のみならず鳥のウィルスに対するレセプターも有するゆえにもしも、人のウィルスと同時に鴨のウィルスが感染すると両ウィルスの遺伝子再集合体とも云われる自然界における遺伝子組み換えの様な現象が生じ、人から人への感染能力を有した強力なインフルエンザウィルスが出現する。

このインフルエンザウィルスは遺伝子を後世に残す為、あらゆる手段を駆使してコピー、貼り付け、変異を豚の細胞内で行い、遂には人を含む他の哺乳類の咽頭部粘膜に達し大量に自己複製する能力を有する、見事なまでに完成された生態系を有する、なんとも逞しい生命力のあるウィルスである。

如何にして単純ながらも、この壮大にして緻密なウィルスが出来上がったのか興味が尽きないし又、今後どの様な変異をしながら隠されている病原性を現すのだろう。

視点を変えると’地球上の生命誕生の謎’の答えの一つになるかもしれない。
今後のdna解析が待たれる。

1imgp0159

一方の攻撃される人間側は負けてばかりではない。
過去に大流用した抗原もインフルエンザウィルスの中に残っており、それらを含めたヘマグルチニン(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)遺伝子亜型のライブラリーが北大zoonosisの喜田 宏教授らによって既に構築され、ウェブサイトで公開、ワクチン、診断用抗原のプログラミングに利用されている。

敵をまる裸にし、次の攻撃に対する迅速な防御作戦を練っている。

それにしても随所に見られる素晴らしい洞察力に加え、野鳥を全地球的規模で踏査する行動力の伴った、スケールの大きいウィルス検索をされた見事な研究業績である。

矢張りウィルスに対し、人はまだディフェンシブでしかないのか。

              <感染症シンポジュームより>

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月12日 (土)

サミットで大笑いしたのは

Photo

ウィンザーホテル洞爺の歴史を振り返ってみよう。
詳細はこちらに書いたが、高卒の社長が社員5名とスコップ6個で創めた零細な土建屋が後にカブトデコムと名称を変更、旧拓銀から返済能力のないのにも関わらず700億円を借り受けてホテルエイペックス洞爺を建てたが当然の如く、わずか5年で倒産、間もなく拓銀も倒産、北海道にかかわらず日本中に激震が走る。

やがて名称がウィンザーホテル洞爺と変わり、小泉純一郎元首相ともたれ合いの仲の飯田亮氏が顧問をつとめる警備保障会社セコムに破格のなんと60億円で売却される。

そしていつの間にかサミット開催が決定、その理由として警備のしやすさ、並びに天候の良さ等は後付の尤もらしいこじ付けだろう。

旧態通り、政財界の癒着構造、もたれ合いが簡単に垣間見えるが、旧大蔵省は金融監査で、長年行われていた拓銀のハチャメチャな過剰融資を何故、みのがし続けたのか。
又、如何程の理由付けで検察は動かなかったのか。

その疑問に対する一つの答えがある。
2007年、文藝春秋11月号に、立花 隆氏のヤメ検弁護士こと元東京地検特捜部検事の田中森一氏に対するインタビュー記事が掲載され、その中に裏から見た注目すべき旧拓銀の融資実態が暴かれている。

それによると、田中森一氏は悪名で名をはせ’拓銀をつぶした男’といわれる中岡信栄の顧問弁護士でもあり、信憑性に若干の疑問もあるが、拓銀は破産管財人を入れようとしたが、田中森一弁護士が拒否したと書かれている。

「若し、破産管財人が入っていたなら、政界、官界を巻き込んだリクルート以上の一大スキャンダルになっていただろう」と言っている。

「それで拓銀が全ておかっぶたんだ」と、断言している。

つまり、表面上は拓銀不正融資事件としてのみ扱われているが、裏で寄生し、雲霞の如く蠢いていた政治家等の大罪は問われず、逃げ通した。

もし、事実であるなら、
国は拓銀を’あて馬以下の存在’としか考えずに泳がせ、そして潰しにかかったのではないだろうかという大きな疑問が今でも残っている。
当時の橋本竜太郎元首相は「これで、不安要因が整理できた」と発言している。

Imgp0064

結局、闇に消えた巨額の融資された道民のお金の一部は政治家に渡ったとされるが解明されずに幕引きとなり、誰かが最後に大笑いしているのは間違いない。
一連の大いなる疑問の残る、700億円の建設資金を出資した拓銀の馬鹿を装った不透明さに加え、60億円とあまりにも安すぎる売却金額、そしてサミットの場所決定プロセスの疑問等から浮き出てくる、拓銀を喰ってでも実行された安っぽい、見え透いたグランドデザインは一体、誰によって描かれたのか。

自然破壊の防止、温暖化対策を主要テーマとうたった北海道洞爺湖サミットであったがもしも土地に地霊なるものが存在するとしたなら、洞爺湖を望む素晴らしい景観というだけで、自然を破壊しつくし山頂にそびえ立つ様に建てられた、同ホテルの世界中に放映され続けたであろう濃霧に覆われた映像はゲニウス・ロキGenius Locciの涙とでも表されたのだろうか。

さて、経営トップにまともな人材を持ち得ないばかりに国家によって潰され、生け贄にされ、各地に散らばった旧拓銀の銀行マン並びにその御家族のサミットに対する心模様はいかばかりか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 8日 (火)

オミックス医療の凄まじさ

Imgp0080

賛否、誤解をかもし出した「個体は遺伝子の乗り物だ」で有名なオックスフォード大学、動物行動学者R,ドーキンスの「利己的な遺伝子the selfish gene」-1976年で、進化とは遺伝子pool内で特定のある遺伝子が数を増やし、又、ある遺伝子は数を減らす事だと書かれていた。

50年に一度、科学史に残る大発見があるといわれ、dnaの二重らせん構造の発見から50年後の2003年、dnaに書かれた生命の暗号集とも云われるヒトのゲノムマップが解明される。

そして現在ほぼR,ドーキンスのセオリー通りに進み、生命現象をつかさどる分子情報を体に埋め込んだマイクロチップで集積、病気の予防、治療の質を飛躍的に向上させるオミックス医療-Omics-based Medicineの研究が進んでいる。

dnaの塊であるゲノムgenomeの中に遺伝子geneが含まれているが、この遺伝情報を元に特定の領域が転写transcriptされたm-rnaから蛋白質が作り出される。その研究transcriptomeが進み蛋白質の分析proteomeから代謝系に至る分子をネットワークシステムとしてとらえている。

つまり、生命を分子的ネットワークのシステムとしてとらえ、geneから各疾患を割り出し、発症予測をする考え方である。

以上のことから将来起こりうるかもしれない腫瘍、心、脳疾患etcの発症確率の予測、しいては予防的治療、或は前もって個人由来のオリジナルな臓器の栽培、移植も併せて行われる様になるだろう。

Img1p9997

であるなら、将来の医学、薬学をはじめとするライフサイエンスは根本的な変換を余儀なくされるのだろうし医療は現在とは全く変わったものになるだろう。

この研究が順調に進むとはまだ考えずらいが何れにせよ、個人の寿命まで予測される時代の入り口という事なのだろう。

ならば将来の哲学、宗教学も根本的に大変革せざるをえないだろう。

ある意味、生物学の一つの到達点なのか。

もの凄い学問である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 4日 (金)

僧侶の責任

Im1gp9948_2

世界中に、友人を持つ事が幼い頃からの一つの夢であった。
最近届いたメールに、あるアメリカ在住のイスラム系の友人はアッラーの教えを忠実に守り、日々メッカに向う礼拝を欠かさず、数世紀後には信者数を含めて我が素晴らしいイスラム教が世界の第一宗教になるだろうと書かれていた。

確かに人口比でも何れの日にか、その通リになるのだろうが、一体その自信は何処から来るのか日本人として不思議でならない。

たかだか愚生の接する限られた友人達との交流だが、彼らに共通するカミの存在、カミへの全幅の信頼、カミを愛する心には一日本人として新鮮でもあり、圧倒される事しばしであった。

ニューヨークはマンハッタンのダウンタウンでキリスト教のミサに出席し、彼らの云わんとするカミをいやと云うほど実感せられた事、また、「インテリジェントデザイン」、「ダウィンの種の起源」に付いて学校で教える事の自己矛盾etcをアングロサクソンと朝まで議論をした事も一度や二度ではないが、結局トマス・アクィナスまで登場させ論ずる「カミにしか創造出来えない」と信じきる途轍もないパワーと裏腹に
物理学の大いなる矛盾にぶち当たる。

我が海外の仲間たちは宗教などと大げさな事を持ち出すまでもなく、彼らの心の中に明らかに存在するであろう、ある種の絶対的なカミが個々を包んでいるやにも思われる。

それがモノなのか、お一人の人格神なのか、はたまた八百万の神様がひしめき合っているのか解りかねるが。

Imgp10030_2

逆に他国から日本を眺めると仏教に砂をかむ様な疎外感を抱くのは果たして愚生だけだろうか。

日本人は失礼な表現だが’神かまうな、仏ほっとけ’と昔から神仏に対し、程よい距離を保ってきた歴史がある。

仏教全般に云える自ら一切の誘惑、邪念を取り払った環境下に身を置き、遂には自分そのものの枠組みを取り払うradicalで、しかも自分周囲の共同体、所有物をも否定してしまう思考法なるが故にキリスト、イスラム教の様に昨今の社会問題に積極的にアプローチしうる立場とおのずからスタンスを異にするのだろう。

しかし、これから先の世、日本の宗教者は社会に積極的に出て、若年層の心の問題をはじめとして発言する事を大きく求められるだろう。

信心深いご老人の云う、
「ありがたいお経をあげて頂ければ、それでいいんです」式のみでは、社会的な仏教の限界は既に見えているし、将来はない。

Img1p9961_2

又、日本の仏教も沢山の矛盾を抱えている。
その一つに、神仏の前ではすべて平等だと誰かがのたまっていたが、仏の前では明らかに不平等である一つの証拠に、グレード分けされた戒名代と称されるものがある。

そこに厳然とした差別があり続ける影響は計り知れない。

イスラム、キリスト、ユダヤ教にも日本の仏教同様に高額なお金が必要なのだろうか。

釈迦の教えを全否定しているのはひょっとしてお寺じゃないだろうかと、大いなる疑問も湧いてくる。

日本の財産であろう仏教が今こそ必要とされているのにも拘らず、社会から次第に否定されつつある事を宗教者はどの様に認識されているのか、そしてこれから先の世、仏の教えを誰が、どうやって、何処で説いているのだろうか。

マルクスは「宗教は民衆のアヘンである」と言って怒られちゃったみたいだが、アヘンも使用法によっては素晴らしい効果を発揮する。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2008年6月 | トップページ | 2008年8月 »