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2010年5月21日 (金)

思想がない

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大岡昇平が名付けたのか、青山学院の一場面で、女史は’思想がない’とジィちゃんに罵られた。そしてジィちゃんは具体例を女史に見せた。
それはみすぼらしい、薄汚いアパートに住む身の回りのことなど一切無関心でひたすら金をためる事に集中している守銭奴の金持ちマダムを引っ張り出した。
6畳か、8畳一間に小さな台所が付いていたが野菜などは置き場がないので各部屋の前の廊下に置かれていたらしい。
そのアパートの住民でもあったジィちゃんはその金持ちのマダムが廊下を通る時、各々の部屋前に置かれた葱を少しずつ抜いてゆく、要は盗む様子を隙間から女史に見せた。
「あれで今夜のお惣菜ができるんだ、思想とはこういうものだ、わかったか」と。

その後、くだんのマダムは病気で寝たきりの植物人間になったが算盤だけはしっかりしており今でも銀座にバーを何件も経営している。

以上、森 孝一著、ジィちゃんこと「青山二郎の素顔」のなかで白洲正子女史が語っている有名な一場面だ。

また、白洲正子著、「いまなぜ青山二郎なのか」では後々、巨匠と呼ばれる小林秀雄、中原中也、河上徹太郎、柳宗悦らがまだお尻が青い頃の事を鋭い視線で見抜き、そして’思想がない’に対する考察をあえて惚けた風にも読み取れる文章が何ともにくい。

天才、青山二郎に師事し、胃潰瘍を患いながら、懐が深くなった韋駄天お正女史もやるもんである。

深い、

どうだろう、鳩山兄弟?

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