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2017年1月 1日 (日)

ヒトデ釣り名人のぼやき

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カレイ釣りをしていると、時々ヒトデが掛かる。
他の釣り師にはあまり掛からないのに、なぜか愚生の竿によく掛かるということは、どうやら相性もいいのだろう。
ヒトデの裏面をよく見ると、真ん中に口らしきものが備わっており、釣り針が飲み込まれているのを見ると、ヒトデにも喰い気のあることが分かる。ならば食欲本能とともに、天敵がよく使うであろう疑似餌などの戦略的な武器を見分ける能力も有していなければ、今まで生きのびてはいなかったに違いあるまい。
ようは’意識’も備わっていなければ、生物としては失格であろう。
ならば優劣はどうであれ脳神経回路、コネクトームが作動する脳神経細胞があるのかもしれない。

イントロが長くなった、ようはヒトデに意識があるのか?
愚生は「有」意識と思う。
さて現在のAIレベルは、まだヒトデの脳神経回路にすら達してはいないのだが、人間は食物連鎖のてっぺんに座し、さも偉そうに「無」意識というおそろしい単語を汎用する。
そんなとてつもない矛盾をはらんだ広莫たる「無」意識を以下に意識してみたいのだが、はたして・・。
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井筒俊彦著作集、9/東洋哲学/p110,111より以下に部分引用する。
「神、光/オールあれ、と言えば光があった」、光に続いて様々に異なる「名」が、森羅たる万物が。旧約聖書的世界表象において、光は存在文節の原点、全存在界の始点、「無」から「有」への、カオスからコスモスへの転換点、である。
この光あれという、コトバの存在喚起力は絶対無文節的意識においては、まったく働いていない。
意識のこの無文節的深層の暗闇の中に、コトバの光がゆらめき始める。すると今まで「無」意識だった意識が「有」意識として文節し、それを起点として、存在の自己文節のプロセスが始まる。
そして、その先端に、万華鏡のごとき、存在的多者の世界が出現する。
意識と存在の形而上的「無」が、こうして意識と存在の経験的「有」に移行する、この微妙な存在論的一次元を、東洋思想の渾沌、西洋のカオスに・・・・。

荘子のような思想家にとっては、渾沌、窮極的には「無」こそ存在の真相であり、深層であるのだから。万物が、いかにも取り澄ました顔付でそれぞれ己れの分を守り、各自があるべき所に位置を占め、互いに他を排除することによって自己を主張しつつ、整然たる存在秩序の空間を形成している。
それがいわゆる「現実」というものだが、そんな既成の秩序を取り払って全てをカオス化し、そこからあらためて現象的多者の世界を見なおしてみる。そこにこそ存在はその真相、深層を露呈する、と荘子は言うのだ・・・etc。
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荘子は現代人にこんなものですと書き残しているが、「無」意識と「有」意識のはざまに揺れる陽炎の如き愚生にとって所詮、「有」意識から「無」意識を意識している限りにおいては、などと書いては出直して来いとお叱りを受けることになる。
全ての根源は渾沌、既成の秩序を取り払って全てをカオス化し世界を見なおせと言う。
今さら書くまでもないことだが荘子の思考の中心には渾沌が居すわる。

さて13世紀の禅者たちが挑んだ、二項対立の超克という宿題/overcome all possible dichotomiesを、例えばそれが「無」、「有」の壁の撤去だ、常住、寂滅の壁の撤去だということなんだ、まだそんなことも解からないのかと、ヒトデは愚生を意識する。
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愚生、只座っていれば足は痺れて、そのうちsiestaを楽しむこととなる。
これがまた実に心地よい、喩えば船上で陽光を浴びながら釣り竿を持ち、siestaを楽しむ我釣りのお作法は、ヒトデの「有」意識に対する、愚生の夢うつつ的「無」意識の対峙であり、簡略化すれば「有」、「無」は釣り糸で繋がっていると安直に考えたりもするが、禅的にはそれではいけないらしい。
もちろんだが愚生の夢うつつ的「無」意識とは、荘子のいう本来のそれとは、比較すらはばかられるものであることは重々承知のつもりだが、荘子の真相、深層の完全な理解にはほど遠い。

畢竟ヒトデがのたまうように、「有」意識と「無」意識の区別は、とどのつまりないんだと書きなぐれば、印可の偽証に相候、・・・喝破される事然り。

「無」意識とは分からん、もしも正解がみつけられたならいつの日にか・・、ここに愚生の未熟な能力の限界をさらし、新年を迎えることとなった。

あけまして おめでとう ございます

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